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大阪高等裁判所 昭和24年(を)1377号 判決 1949年12月14日

被告人

森正司

主文

原判決を破棄する。

本件を和歌山簡易裁判所に差し戻す。

理由

刑事訴訟法第三百三十五條によれば、法律上犯罪の成立を妨げる事由又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたときは判決においてこれに対する判断を示すべきことを規定している然るに、原判公判調書(記録第九丁)によれば弁護人は被告人の性格及び被告人が酒を飮んだ場合前後不覚になる事実を立証するため被告人の姉森貴美子外一名の取調と被告人精神鑑定を求めており、畢竟本件犯行当時の被告人に精神状態の障碍のあつたこと、すなわち心神喪失あるいは心神耗弱の状態にあつたことを主張したものと解せざるを得ない。而して以上は前記法條所定の主張に外ならないものと解すべきであるから、判決においてこれに対する判断を示すべきこと勿論たるに拘らず何らこれを示していないのは違法であつて、右違法は判決に影響を及ぼすこと明らかなりというべく、論旨は理由がある。

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